本日は Blender の技術調査です。
2019/7/3現在、最新のソースコードから Blender をビルドすると 2.8 の Blender がビルドできました。
今回はバージョン 2.79b の Blender をソースコードからビルドする手順を記事にします。
前回記事の続きです。
・Blenderのビルド手順 その2(Blenderのコンパイル)
bluebirdofoz.hatenablog.com
バージョン 2.79b のソースコードの取得
2019/7/3現在、公式のダウンロードページからバージョン 2.79b のソースコードをダウンロード可能です。
www.blender.org
[macOS, Linux, and other vesions]のプルダウンから[Source Code]をクリックします。
これでバージョン 2.79b で利用されているソースコードを取得できます。
ダウンロードした tar.gz ファイルを解凍すると、ソースコードディレクトリが展開されます。
ライブラリは SVN から取得する必要があります。
これでバージョン 2.79b のソースコードは 64bit 向けビルドの場合 lib\win64_vc12 のライブラリを参照します。
lib\win64_vc12 のディレクトリは最新のリビジョンでは既に削除されています。
リビジョン 62073 以前のリビジョンから lib\win64_vc12 のライブラリを取得します。
VisualStudio2013のインストール
バージョン 2.79b では VisualStudio2013 のビルドツールが必要なようです。
過去の VisualStudio をインストールする場合は以下のページからインストーラを取得します。
visualstudio.microsoft.com
過去バージョンの取得には Visual Studio Dev Essentials への登録が必要になります。
visualstudio.microsoft.com
登録後、2013 のインストーラを取得してインストールを行います。
プロジェクトファイルの生成
CMake を起動します。
[Where is the source code:]に展開したソースコードディレクトリ(/blender-2.79b)を指定します。
[Where to build the binaries:]にバイナリの保存ディレクトリを指定します。
この状態で[Configure]をクリックします。
プロジェクト設定の選択画面が表示されます。
バージョン 2.79b のプロジェクトは Visual Studio 2013 を選択します。
Windows 64bit 環境での利用になるので platform には x64 を指定します。
(Win32 向けビルドを行う場合は 32bit 向けライブラリのダウンロードが必要です)
[Finish]をクリックします。
Configure が完了したら、次に[Generate]をクリックします。
これでプロジェクトファイルの作成が完了しました。
Blenderのビルド
指定したバイナリの保存ディレクトリを開くと、sln ファイルが生成されています。
sln ファイルを開き、プロジェクトの読み込みが完了するまで待ちます。
読込が完了したらメニューから ビルド -> ソリューションのビルド を実行します。
このとき、筆者環境ではエラーが発生しました。
error C2001: newline in constat ...(以下略)
blender-2.79b\source\blender\makesrna\intern\rna_wm.c におけるマルチバイト文字のエラーです。
対応策として rna_wm.c を BOM 付きの UTF-8 形式のテキストに再保存を行いました。
こちらで再ビルドを実施したところ、正常にビルドが完了し bin ディレクトリに exe ファイルが出力されました。
次に INSTALL をターゲットにビルドを実行します。
INSTALL は Blender.exe が利用する DLL などをコピーします。
SVN ライブラリを更新した際は必ずこの手順を行うようにします。
bin ディレクトリに DLL がコピーされました。
blender.exe を実行して Blender が起動することを確認します。
次はビルドの設定を少し変更して Blender を python のモジュールとしてビルドしてみます。
bluebirdofoz.hatenablog.com