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De:code2019でのHoloLens2体験レポート

De:code2019 で HoloLens2 を体験してきたのでそのレポートを記事にします。

本レポートを読む際は以下の点をご留意ください

・体験した HoloLens2 は開発中の物です。製品版では仕様が異なる可能性があります。
・著者は HoloLens1 を体験済みため、HoloLens1 から HoloLens2 への変化に関する感想がメインです。
・ほんの10分程の体験を元にした一個人の感想としてお読みください。

HoloLens2の体験の経緯

De:code2019 では HoloLens2 の体験は抽選形式となっていました。
今回、私は抽選には当たりませんでしたが、キャンセル待ち枠で体験することができました。
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二日目午前の抽選枠では 40 名の当選者が発表されましたが、内 28 名の当選者が現れずキャンセルとなりました。このため、二日目の朝にキャンセル待ち列に並んだ方は全員 HoloLens2 の体験ができていました。

一見するとキャンセルが多いように見えますが、3分の1近くの人がHoloLens2 の抽選を見るために朝9時から会場にきていたと考えると、注目度は高かったと言えます。

キャリブレーションを設定する

HoloLens2 の体験で、初めに行ったのはキャリブレーション操作でした。
目の前に動き回る宝石が現れるので、それを目線で追って合わせていきます。
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アイトラッキング用の調整を行っているとの事で、アイトラッキング機能を利用する際は事前にこの操作が必要なようです。

模型モデルで視野角の広さを体験する

キャリブレーションが終わると、キャビネットの上に置かれた「海の模型モデル」を見ました。

ここでは視野角の広さを体験する事になりました。
アスペクト比が 4:3 になっているおかげでモデル全体が視野角に収まり、近づいても違和感がありません。
HoloLens1 だと上半身を引いてモデルの全景を見ることがよくあるのですが、無意識のうちに覗き込むような見方をしていました。
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角度辺りの解像度や色味については開発機という事で、今後の製品版とは異なるという説明がありました。

タービンモデルでハンドトラッキングを試す

次に横のテーブルを見るとタービンのモデルが配置されていました。

ここではハンドトラッキングを体験しました。
HoloLens1 と同様の「摘む」というジェスチャーに加え、HoloLens2 では五指を認識しているため「握る」というジェスチャーも可能でした。
両手で物体を握り、広げたり、回したりという操作ができるので操作がより直感的になったと感じました。
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一方で HoloLens1 のエアタップと同様に「握る」というジェスチャーにもある程度コツが必要だと感じました。
最初は掴むことに失敗し、何度か試して「ああ、こうすると握るジェスチャーと認識するんだな」と理解できました。

再生ボタンを人差し指で押す

次に壁の方に目をやると、再生ボタンが付いた宝石のオブジェクトが見えました。

再生ボタンを人差し指で押すと、アニメーションが始まりました。
このとき行った「人差し指で押す」というアクションが最もスムーズに成功しました。
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モデルを握る場合はどこを握れば良いか悩んでしまうのですが、ボタンを押すという動作は説明が少なくても素直に実行できます。
現実に存在するものを表示して、現実と同じ感覚で操作できるのは強力な利点と感じました。

ハチドリが手の平に追従する

ここで MWC のデモでも登場していたハチドリが現れました。

手をかざすと、手のひらにハチドリが近寄ってきます。
この手のひらの認識はかなりスムーズでした。手を左右に動かしても良い感じに追従します。
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ただ左右の追従は広範囲なのですが、上下の手のトラッキングはそれほど広く感じませんでした。
以下の写真くらいに手を下げると、ハチドリが逃げていきます。ジェスチャーを認識させるには手を上げ続ける必要があります。
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常時、手を認識させるような使い方は利用者が疲れてしまうかも知れません。

アイトラッキングを試す

次にハチドリの周りに4つの宝石が現れ、アイトラッキングの体験が始まりました。
アテンドスタッフの説明によれば「特定の宝石を見ると、その宝石が回り出す」とのことでしたが、私は成功しませんでした。
要因としては、度がキツイ眼鏡を掛けていることと、体験中に HoloLens2 の位置を調整してしまったことが考えられます。
こうなるとキャリブレーションやり直す必要があるようです。

体験が成功した方に聞くと、HoloLens2 のアイトラッキングは精度の高いと好評でした。
一方で私以外にもアイトラッキングは失敗したという方が居たので、展示会のUIとしては少々リスキーなようです。

フリップアップ

最後にディスプレイのフリップアップを試しました。
眼鏡をかけていてもスムーズに跳ね上げができ、位置もしっかりと固定されます。
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ディスプレイ部分が HoloLens1 に比べて劇的に軽いので、跳ね上げ後も重心は安定して感じます。

快適性

HoloLens1 と比較すると3倍どころでなく10倍くらい快適に感じます。メジャーな VR 機器と比較しても快適だと思います。
装着しっぱなしでも全く気になりません。開発効率がかなり上がりそうです。
スペック上の重量はあまり変わりませんが、バッテリーが後部に移動して重心が中心になっています。効果は絶大です。
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HoloLens1 は重心が前方のため、首を少しでも傾げると、すぐに首筋が痛くなりました。
HoloLens2 は重心が元々の頭の重心に近いためか首を傾げても首筋が痛くなりません。
ディスプレイ上部のクッションのおかげで装着の位置合わせも手間取りません。

著者の感想

HoloLens2 は機能の進化として見ると HoloLens1 を初めて体験した時ほどの衝撃はありませんでした。
しかし、HoloLens1 と比べて確実に価値あるデバイスへと進化していると言えます。
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何より現実に近い体験ができるようになっているため、変化に気付かない点が多かったのが面白く感じました。
最初のキャリブレーションでは目線での操作ができるのに HoloLens1 の癖で首を振ってしまっていました。
視野角が広くなっているため、モデルを見るとき、自然とモデルに近寄って見ていました。
装着感が快適なので、首が痛くならないことに気付きません。鼻も痛くなりません。アテンドスタッフに言われて最後に気付きました。

「現実で当たり前にできる」事がより「複合現実の中で当たり前にできる」ようになっています。これが HoloLens2 の大きな変化だと思います。

HoloLens2に関するデモ動画

MWCのライブ映像(31:45~)

youtu.be

De:codeの基調講演(2:32:00~)

youtu.be